2026/11/04 08:00
英国スポード「クリスマスツリー」の物語
ハロウィンが終わると、街は少しずつクリスマスの装いへと変わっていきます。ショーウィンドウには華やかな飾りが並び、あちらこちらでクリスマスツリーを見かけるようになる季節。
今年もまた、心が弾むクリスマスシーズンがやってきました。
英国の名窯Spode(スポード)にも、そんな季節にぴったりの「Christmas Tree(クリスマスツリー)」というシリーズがあります。
色とりどりのオーナメントに、ツリーの根元に並ぶプレゼント。
そして、よく見るとツリーのてっぺんには、小さなサンタクロースが座っています。
クリスマスツリーの頂上といえば、星や天使が一般的。
では、なぜスポードのツリーにはサンタクロースがいるのでしょうか。
実は、この愛らしいデザインには、ちょっと意外な誕生秘話があるのです。
英国生まれ、アメリカ育ちのクリスマスツリー
物語の始まりは1938年。
英国スポードのデザイナー、ハロルド・ホールドウェイ(Harold Holdway)は、アメリカ市場向けのクリスマス食器をデザインすることになりました。
ところが、彼は飾り付けられたクリスマスツリーを実際に見たことがなかったと伝えられています。
そこで、想像を膨らませながら華やかなツリーを描き始めました。
プレゼントは枝からぶら下がっていた?
最初に描かれたツリーには、色とりどりの飾りとともに、プレゼントが枝から吊り下げられていました。
ところが、そのデザインを見たアメリカ側の担当者から、ある指摘を受けます。
「アメリカでは、プレゼントはツリーの根元に置くものですよ」
そこでホールドウェイは、プレゼントをツリーの下に描き直しました。
こうして、現在まで親しまれている「クリスマスツリー」の基本的なデザインが生まれたと伝えられています。
ツリーのてっぺんに座る、小さなサンタクロース
もう一つ、スポードに伝わる興味深いお話があります。
それが、ツリーの頂上にいるサンタクロース。
一般的には星や天使を飾る場所ですが、ホールドウェイはそこにサンタクロースを描きました。
工場に伝わる逸話によると、彼はツリーのてっぺんに何を飾るものなのかも知らなかったのだとか。
そこで、クリスマスを象徴するサンタクロースを描いたといわれています。
真相は定かではありませんが、そんな偶然から生まれたかもしれない小さなサンタクロースが、今ではこのシリーズを象徴する存在になっているのです。
80年以上愛され続けるクリスマスの食器
1938年に誕生した「クリスマスツリー」は、その後も製造が続けられ、プレートやカップ&ソーサー、ティーポットなど、さまざまなテーブルウェアへと広がっていきました。
毎年クリスマスが近づくと、食器棚から取り出して食卓に並べる。
そんな楽しみとともに、長年親しまれてきたシリーズです。
流行が移り変わっても、毎年同じ季節に使いたくなる。
それもまた、長く愛される食器ならではの魅力なのかもしれません。

今年のクリスマスにも、小さな物語を
今回Antique FEELPORTにも、スポードの「クリスマスツリー」シリーズが届きました。
赤いリボンが華やかなプレートや、愛らしいツリーをかたどったテーブルウェア。
中でもワインストッパーには、ツリーのてっぺんに小さなサンタクロースがちょこんと座っています。
80年以上前、一人のデザイナーが描いたクリスマスツリー。
その誕生の物語を知ると、見慣れた絵柄も少し違って見えてきませんか。



