2026/09/26 10:00
~ アンティークの小さなお話 ~
エインズレイのフルーツ柄のプレートを眺めていたときのこと。
その絵の精巧さに見入っているうちに、
ふと疑問が湧きました。
「そもそも、なぜフルーツを器に描いたんだろう。
最初に描いた人って、画家だったのかな?」
少し調べてみると、これがなかなか面白くて。
英国陶磁器の世界には、花や風景、果実などを専門に描く、磁器の絵付けを担う画家たちがいました。
その代表的な窯のひとつが、ロイヤル・ウースターです。
ウースター博物館によると、後に同窯を代表する「Painted Fruit」へと発展する写実的な果実表現の先駆けとなったのが、Octar Copson(オクター・コプソン)が1880年に描いた作品でした。
熟した果実の質感や自然な傷まで描き込むその表現は、ヴィクトリア朝後期の水彩による静物画にも通じるものだったといいます。
その後のロイヤル・ウースターでは、絵付け師たちがそれぞれ得意分野を持ち、独自のスタイルを発展させていきました。
たとえばRichard Sebright(リチャード・セブライト)は「果実」、Frank Roberts(フランク・ロバーツ)は「花と果実」。
つまり、ティーカップやプレートに描かれたフルーツは、単なる「模様」というより、
白い磁器をキャンバスにした、小さな静物画。
そんなふうに見ることもできそうです。
そしてエインズレイでも20世紀には、Doris Jones(ドリス・ジョーンズ)やNancy Brunt(ナンシー・ブラント)など、果実やベリーを描いたことで知られる絵付け師たちが活躍しました。
エインズレイの果実柄は、のちに「Orchard Gold」の名でも広く知られるようになります。
葡萄やりんご、ベリーなど、
たわわに実った果実の色は、やはり秋によく似合います。
エインズレイのフルーツ柄も、
「きれいな柄の器」としてだけでなく、
小さな絵を飾るような気持ちで眺めてみてください。
いつものアンティークカップが、
また少し違って見えるかもしれません。
この週末は「秋色クラシック」

9月25日(金)〜27日(日)の3日間、
「秋色クラシック」と題して、秋の気分に似合うアンティークをご紹介しています。
