2025/09/07 18:54

➤ はじめに――今回は“わたし”の目線で
こんにちは。antique FEELPORTです。
「STORY CUP」第3章は、少し趣向を変えてお届けします。
今回は、わたし自身(カップ)の視点で語る物語です。
光に包まれた舞台の記憶。
異国の文化に憧れた装い。
そして、優しい時間と、新しい出逢いへ。
わたしの声に耳を傾けながら、物語のひとときをご一緒ください。
➤ はじまりの舞台
こんにちは。
わたしは、シェリー窯で生まれたカップ。
正確には、その前身「THE FOLEY CHINA」の時代に作られたのよ。
シェリー窯って、3度も名前を変えてきたの。
でも本質は変わらない。美しいものを作る、という誇りはずっと続いていたわ。
深い瑠璃色に、燃えるような朱い花、煌めく金彩。
わたしは“ひと目惚れ”されるために生まれてきたような姿をしてるの。
初めてお披露目された日のこと、今でも覚えているわ。
まるで舞踏会のように、光が私を包み込んで──
とっておきの時間が、そこで始まったの。
➤ 遥かなるルーツ
わたしのふるさとは、イギリスのストークオントレント。
陶磁器の聖地とも呼ばれるこの町で、シェリー窯の前身「フォーリー・チャイナ」の工房から生まれたの。
当時のヨーロッパでは、遠い東の国に強く憧れる風が吹いていたの。
日本や中国の美しさに魅せられて、多くの職人たちがその世界を夢見て、筆をとった。
わたしの装いも、その“憧れ”から生まれたもの。
伊万里のような朱と藍のコントラストに、たっぷりの金彩。
西洋の技術と、東洋の美意識──
ふたつの文化が出会って、わたしはここにいるの。
➤ わたしのドレス
見てみて!
この花模様、そして縁取りの金の葉。
一筆一筆、職人の手で描かれた贅沢な装いなの。
とくにお気に入りは、スカラップのかたち。
カップも、ソーサーも、プレートも──
まるで花が重なり咲いているみたい。
ちなみにこのシルエット、「エンパイヤ・シェイプ」って呼ばれていたらしいわ。
名前まで、ちょっと貴婦人みたいでしょ?
舞台衣装みたいな、私だけのドレスなのよ!
➤ 過去の記憶
わたしのご主人様はね、紅茶がとても好きな人だったの。
朝よりも、午後の静かな時間を大切にしていて──
光が差し込むと、決まって私をそっと手に取った。
紅茶の香りと、焼きたてのビスケット。
お気に入りの本を少し読んでは、
そのまま、窓の外を眺めていたっけ。
注がれる紅茶の音も、口元に運ばれるときの静けさも。
すべてが、優しい時間の一部だったのよ。
➤ 新しい出逢いへ
私の話に付き合ってくれてありがとう。
わたしの物語は、いったんここで幕を閉じるけれど──
またどこかで、新しい時間がきっと始まるわ。
どんな紅茶を淹れてくれるのかしら。
どんな午後に寄り添えるのかしら。
そんなふうに想像できるのが、今とても幸せ。
また、どこかで会えたらうれしいわ。
カップ目線の物語、いかがでしたか?
器の声にそっと耳を澄ませると、日常のティータイムも少しだけ特別に感じられるかもしれません。
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✒ 次回の「STORY CUP」
来週も新しい一客をご紹介します。どうぞお楽しみに。